「フォニックス」ってなに?メリットは?
英検Jr.®︎マガジン第370号
※このコラムは、2026年2月10日に配信された英検Jr.®︎マガジン(メルマガ)の内容です。
公開日:2026.08.27
最終更新日:2026.08.25
フォニックスを学ぶなら、英語の音に慣れてから
「フォニックス(Phonics)」とは、英語の文字(アルファベット)と音の対応関係を体系的に学ぶための学習法の一つです。
主に英語圏の子どもたちが読み書きを習得するために用いられるもので、アメリカでは小学校入学前後(6歳前後)から取り組み始めるのがスタンダードです。
アルファベットを用いた英語の表記方法(スペリング)は 、日本語のひらがなとは異なり、文字と音が完全に一対一対応していません。そのため、英語を母語とする人たちにとっても、「聞いてわかる・話せる」段階と「読める(書ける)」段階との間には大きな壁があります。
かつて英語圏では基礎的なリーディング能力の獲得が社会課題となっており、「子どもたちにいかに読みを教えるか」についての論争が長く続いていました。さまざまな手法が論じられた末、標準的な学習法として選ばれたのがフォニックスです。
さらに言うと、文字の読み書きが極端に苦手なディスレクシア(Dyslexia, 発達性読み書き障害)は英語を母語とする人に比較的起こりやすく(正確に言うと、顕在化しやすい)、フォニックスはその支援のためにも用いられてきました。
フォニックスには、a~z、th、chといった文字と音の基本となる組み合わせに加えて、例えば、「cake」など単語の最後の「e」は発音しない「サイレントe」のルールなど、複数の基本ルールがあります。
「ルール(法則)を覚える」というのは認知レベルの高い行為であり、あまりに幼いうちから取り組んでも効果は得られません(ただし乳幼児向けの特殊なフォニックスも存在します)。

アメリカ人の子どもが6歳前後で学び始めることを考慮すると、ノンネイティブである日本人は、同じかそれ以降が良いと言えます。
英語の音に十分慣れたうえで「読み」の習得のために用いるのがフォニックスなので、まずは「英語の音に慣れる」「聞いてわかる」を優先させましょう。
子どものころにフォニックスを学んでおくとメリットあり!
日本で生まれ育った保護者世代の多くは、フォニックスに触れていないと思います。
フォニックスを学んでいない普通の英語学習者は 、英単語のスペルから発音を想像することになりますが、日本人は小学校でローマ字を学んでいるぶん「ローマ字読み」をしてしまいがちです。これは役立つ面もありますが、誤った推測にもつながる可能性があります。
一方、子どものころにフォニックスを学んでおくと、初めて見る単語でも正しい発音を推測しやすくなります。子どもの英語学習においてフォニックスは必須ではありませんが、やっておくメリットはあると言えるでしょう。

フォニックスに取り組むうえで大切なのは、テキストにあるルールを覚えることだけに専念しないこと。
リアルな単語に触れるなかで自然と習得していく部分も大いにあるので(英語圏でフォニックス反対派の人はこうした自然な習得を重視していました)、ルールの学習と並行してたくさんの英語の音と文字に触れることを大事にしてほしいと思います。
また、先に述べたように、そもそも英語は基礎的な読解力の獲得が日本語よりも難しい言語である ということも、覚えておいていただきたいと思います。
つまり、フォニックスに少し取り組んだからといって、英語がすぐに読めるようになるわけではないということ。
日本人は英語4技能の中でリーディングが得意な人が多いですし、我が子の成長を焦らず見守ってあげてくださいね。
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尾島 司郎 先生 (おじま・しろう)
早稲田大学 理工学術院 英語教育センター 教授
英国Essex大学博士課程修了(Ph.D in Language and Linguistics)。 滋賀大学 教育学部 准教授、横浜国立大学 教育学部 教授などを経て、2023年より現職。 第二言語習得論、言語脳科学、早期英語教育などの研究を通して、日本人の英語習得メカニズムの解明とその教育応用を目指している。2026年1月に新刊『おうち英語ゼミ』(研究社)を出版。3児の父で、大人バレエに挑戦中。
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